第53章

彼女は満足げに伸びをして、設計図を鍵をかけてしまい、建築院を後にした。

一つの黒い影がひっそりと現れ、彼女の引き出しを開け、設計図を見た後、冷たく笑い、そのままコップ一杯の水をかけた。

設計図は一瞬で滲み、元の姿が分からなくなった。

翌日早朝、前田南が建築院に着いたとき、クライアントはすでに到着していた。ボスは高橋という姓だった。

高橋社長は村上先生と話をしていた。

「今回の案件は急ぎでして、幸いあなたにお願いできて助かりました。でなければ、どうやって上に提出すればいいか分からなかったところです」

村上先生は髭をなでながら、ハハハと大笑いした。

「ちょうど手の空いている者がいま...

ログインして続きを読む